2008-07-17(Thu)

実家 1

                                  スレッドテーマ:移住
マルコ

お父ちゃんに肺がんが見つかった。

わたしたちは急きょ実家に向かう。

お父ちゃんは家にいた。

妹とその子、そしてやつれて見えるお母ちゃんが出迎えてくれた。

今のところ、病状は安定してはいるもののお母ちゃんは気になることを言った。

「さいきんちょっと、こっちのほうが・・。」

と言って言葉をにごす。

「こっちって、ひょっとして物忘れとか、そういう・・・?」

わたしもことばを濁す。

聞けば、最近お父ちゃんは物忘れがひどくなったらしい。

そのために一度全部の検査をしてもらおうということになってガンが見つかったのだ。

当然お父ちゃんは自分の病気を知らない。

だからわたしたちが訪ねて行っても、単なる里帰りとしか思っていないようだった。

「お医者さんはなんて?」

わたしはとなりの部屋にいるお父ちゃんに気付かれないように聞く。

「頭のほう?」

お母ちゃんが声を落として聞く。

「まあ、両方。」

「頭のほうは薬でちょっとおさえられるらしい。
こっちのほうは・・。」

お母ちゃんは声を詰まらせる。

「早かったら、半年かもしれんって・・・。」
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2008-06-17(Tue)

情報収集 5

                                  スレッドテーマ:移住
タカオ

夕方、いつもどおり店が始まる。

普段と変わりない日のはずだった。

しかし、一本の電話がかかってきた。

なんだか、いやな予感がした。

マルコが電話に出る。

「ああ、お母ちゃん?うん。え?うそ。いつ?ほんまに?」

なにやらマルコの口調が深刻だ。

奥のほうへ電話を引っ張って、しばらくの間、ぼそぼそ話していた。

「わかった。うん、わかった。」

マルコは下唇をかんで電話を切る。

「どないしたん?」

オレは客から見えないところにマルコを呼んで聞く。

「お父ちゃん、入院したって。」

マルコの顔は少し青ざめている。

「え、ほんまかいな?どこ悪いねんな?」

「・・・・肺やて。」

マルコはのどの奥で何かを抑えている声で言った。

「肺?肺って・・・。」

「うん。肺ガンかもしれんって。」

マルコは目に涙をためていた。

「肺ガン・・・・。」

これはえらいことになった。

オレもいつの間にか強く下唇をかんでいた。
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2008-06-13(Fri)

情報収集 4

                                  スレッドテーマ:移住
タカオ

とくに投資という点からみたら、フィリピンはとても魅力的だった。

日本の銀行がかぎりなくゼロにちかい金利のなか、
金利5パーセント以上というのは、普通の話だった。

移住を抜きにしても、投資先としてはおいしい話だ。

しかし、銀行を開設するにしてもまず、現地へ行く必要がある。

オレはマルコに、いかにフィリピンという国の潜在能力が魅力的かということを話した。

「でもさ、学校とかどうなん?
ひょっとして、地元の学校に入れるつもり?」

マルコはフィリピンの潜在能力に一応の理解をしめしながらも、一番気にかかることを聞いた。

「それはこれから調べてみるけど、別にもう21世紀やねんから、どこの学校もそんなにあぶないこと、ないんちゃうか。」

オレは移住本をぱらぱらしながら言う。

「ま、それよりさ、今度のキャンプもう予約するで。」

マルコはキャンプ場ガイドを片手に言う。

キャンプか。

もうそんな時期なんだ。

オレたちは毎年2回、キャンプに行く。

ゴールデンウィークとお盆。

子どもたちもオレたちも、とても楽しみな行事だ。

今年のお盆は伊勢に行こうと計画している。

伊勢は大阪からも近く、お気に入りの場所だ。

特に海の幸。

去年のゴールデンウィークに行ったときは、ちょうど『あわびまつり』というのをやっていた。

うまかったなあ、あわびにさざえ。

マルコも同じことを考えていたらしく、
「またおいしいもん食べられたらええけどなあ。」
と思い出して、うっとりするのだった。
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2008-06-09(Mon)

情報収集 3

                                  スレッドテーマ:移住
タカオ

移住先の候補としてあがっている国は、インドネシアタイフィリピンマレーシア

マルコは、
「オーストラリアとかハワイとかのほうが安心ちゃう?」
と言う。

しかし、やっぱり東南アジアの安さにはかなわない。

オーストラリアなんかは、移住に際し、かなりの金額が必要だ。

もっとも、東南アジアの国々だって、タダで移住できるところはない。

しかし、金額がちがう。

その金額は、今のオレでもどうにか捻出できる額だ。

それに、時代はまさにアジア。

これからの将来を見据え考えると、東南アジアの発展ぶりは魅力的だった。

しらべてみてわかったことは、発展度の高い国のほうが、移住しにくいということ。

そうやって絞って行くと、ひとつの国にいきついた。

フィリピン

フィリピンは、調べれば、調べるほど、魅力的な国だった。

当然、温暖な気候。

あたたかい人柄。

英語が通じる。

35歳以上になれば、リタイアメントビザが使える。

これはSRRVといって、35歳以上の人なら、5万米ドル以上を指定銀行に6ヶ月以上預けておくことが、条件。

以前、テレビで見たことのある『地球最後の楽園、セブ島』が頭をよぎる。

フィリピンを第一候補にしてん。」

オレはマルコに言った。

「・・・フィリピン!」

マルコはちょっとあっけにとられた顔をした。

「大丈夫なん、フィリピン?」

案の定、不安そうだった。

フィリピンといえば、出稼ぎの女性なんかに代表されるように、まだまだ貧しいイメージがある。

しかし、時代は21世紀。

これから発展することは間違いないんだ。

オレは言葉をつくして、マルコ説得するのだった。
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2008-06-04(Wed)

情報収集 2

                                  スレッドテーマ:移住
タカオ

オレはインターネット移住についての情報をいろいろ集め出した。

マルコにインターネットで調べて、と言っても、ラチがあかないのだ。

「あたし、機械は信用できへんねん。」

などと言う。

「おまえなあ、おばはんか。」

オレはあきれる。

「だって、操作が複雑なものは向いてないねん。
車よりも自転車、自転車よりも歩き。
歩きが一番好きやねん。
ミシンよりも、手縫い。
ワープロとかよりも、手書きがええねん。」

マルコはそう言ってゆずらない。

そういうときの彼女の顔は、すごくおかあさんに似ている。

「まあ、あたしはあたしで、いろいろ調べとくわ。」

マルコは言う。

でも、あんまりあてにならない。

安請け合いは彼女の専売特許だ。

移住している日本人はたくさんいる。

ありとあらゆるところに移住している。

そして、言えることは、お金がある人が多いということだ。

だいたいが、海外赴任経験のあるサラリーマンが、退職して赴任地に移住する、なんていうのが多い。

あるいは、もう若いうちから海外を視野に入れて仕事をしてる人かのどちらかだ。

オレのように、中途半端な年で、海外でつぶしのきく仕事をしていない人の移住というのは、とても少なかった。

少ないのなら、オレが開拓者になるしかない。

そういう思いで、日々パソコンに向かっていた。
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2008-05-30(Fri)

情報収集 1

                                  スレッドテーマ:移住
タカオ

ようやくあったかくなってきた。

これで当分、安心して寝られる。

オレにとって春の夜というのは、気の抜けない時間帯だ。

日中はあったかいもんだから、平気なんだけど、夜になったら急に寒さを増す。

ちょっと暑かったら、ふとんを蹴飛ばすので、風邪をひくこともある。

とかく日本は生きにくい。

オレは南の島に思いをはせる。

いいんやろな〜。

あったかい南の島は。

ハンモックで昼寝しても、風邪ひくことないんやろなあ。

オレは図書館で借りてきた移住体験本を眺める。

「ようやく寝たわ。」

マルコがやってくる。

少し前から、ウサギが風邪を引いてたいへんだったのだ。

おなかを下したり、吐いたりするので、眠るまで気が抜けない。

「だいぶんマシになった?」

オレは本をテーブルに戻す。

「うん。吐き気のほうはおさまったみたい。
まあ、あと一日、学校休ませるわ。」

マルコは冷蔵庫からビールを取りだす。

ちょうど、外で門扉がひらく音がする。

「モモコか?」

「そうみたい。あ、タムラさんや。」

マルコは窓に顔をくっつける。

「別れたんとは違うんやな。」

オレはビールを口に含む。

「まあ、結婚前っていうのは心が揺れ動くもんやからなあ。」

マルコはソファにすわりながら言う。

それにしても。

あれほど大騒ぎしてたモモコの結婚話が白紙にもどった。

両親は腹をくくっていたので、気持ちが宙ぶらりんになっているようだ。

移住の話もまだまだ進められそうになかった。

あ〜あ。

南の島〜。
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2008-05-28(Wed)

友達以上 6

                                  スレッドテーマ:移住
マサヨシ

その夜、オレは気が進まないままサブローに電話した。

たまたま近くにいるというので、家に来てもらうことにした。

サブローは日に焼けて、すこしやせていた。

「ひさしぶりやな、ウッシー。」

オレの部屋に入るなり、サブローは言った。

オレは座るように促して、部屋にある小さな冷蔵庫からビールを二本出した。

「で、どう?最近。」

オレはさり気なく聞いた。

「・・・セイカのことやろ?」

サブローは少しうつむいて言う。

「せや。うまいこといってんの?」

最近のオレは関西弁を結構はさむ。

「聞いた?」

サブローはにやっと笑って、ビールをひとくち飲む。

「ああ、聞いた。」

オレもちょっと笑う。

「なんでかなあ。セイカのこと好きやいうのんは、変われへん。
オレも実際、自分がそんなにもてるとか、気が多いとか思ってへんかってん。
セイカとずっと一緒におりたいと思ってたんやけどなあ。」

「年上は魅力的か?」

「ははは。せやな。実際、向こうは3つ上やねん。
セイカはセイカでかわいいねんけど、最近ちょっとわがままやなあと思うこともあってなあ。
口げんかすることも多かったし。
セイカ、バイト先の男に付き合ってくれとか言われたらしい。
それをちょっと自慢げに言うねん。そんなん聞いたら、なんかしらけてきてなあ。
バイト先の彼女はあんまりきれいなこともないねん。
セイカのほうがかわいいと思う。でも、めっちゃ安心できんねん。
セイカには言われへんことも、彼女やったら言える。」

サブローはまじめな顔で言う。

「セイカとは、どうする気?」

「・・・どうしようかなあ。このままオーストラリアに行っても絶対ケンカするだけやし。」

サブローは頭をかく。

「むずかしいよなあ・・・。」

オレも頭をかいた。
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2008-05-27(Tue)

友達以上 5

                                  スレッドテーマ:移住
マサヨシ

セイカがひとしきり泣いてる間、オレとエリは顔を見合わせているしかなかった。

ハナをすすり上げながら、セイカは言う。

「おまけにな、その相手って年上やねん。」

セイカは赤い目をにらむようにオレに向ける。

「で、でも、なんかあったってわけじゃないんだろ?」

オレは妙に落ち着かずに言う。

実際、オレはサブローが最近どうしてるか、なんてぜんぜん知らなかったんだ。

でも、同じオトコとして、なんだか言い訳がましくなるのはしかたなかった。

「あった。」

セイカは確信をもった口調で言う。

「なんでわかったん?」

エリが聞く。

「だって携帯かくすもん。」

セイカが口をとがらせる。

「それだけじゃわかれへんで。」

オレは言う。

エリがオレの関西弁にちょっと微笑む。

「それに、オーストラリア旅行、や、やめようって。」

そういうとセイカはまた泣き出した。

エリはセイカの背中をさすりつづける。

こんなとき、オレはどうしたらいいんだろう。

セイカの味方をしたい気もするし、サブローの言い分も聞いてみないとわからない。

「・・・っく。ウッシー、サブローに聞いてくれへん?」

セイカが泣きながら搾り出すような声で言う。

「え、オレが?」

「うん。オトコ同士やったら本音聞けるやん。」

セイカは有無を言わせぬ言い方をする。

気が重いなあ。

恋愛沙汰は本人同士で解決してくれよなあ。

オレはしぶしぶ、

「わかった。」

と言った。
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2008-05-26(Mon)

友達以上 4

                                  スレッドテーマ:移住
マサヨシ

セイカの語るところによると、サブローはガソリンスタンドでアルバイトしてるらしい。

サブローはそこのバイト仲間とウマが合うのか、よく遊んだりしてるのだとか。

「そのこと自体はべつにええねん。
あたしもバイト友達とカラオケ行ったり、ごはん食べに行ったりするからさあ。
でも、あたし、見てしもてん」

セイカはちょっとうつむく。

「見たってなにを?」

エリとオレは同時に聞く。

こういうとき、おんなじ言葉がでるということがちょっとうれしい、なんて思ったりする。

携帯。」

セイカは言った後、唇をかんで続ける。

「サブローの携帯に、女の子からメールがはいとってん。」

エリとオレは顔を見合わせる。

「なんて?」

エリは眉間にしわをよせて腕を組みながら聞く。

「最初は他愛もないこと。
なんか飲み会が楽しかったとか、そんなこと。
バイトの人の話とか、そんなん。
でも、最後に・・・・。」

セイカはことばを詰まらせる。

「最後に?」

オレが聞く。

「最後にな、さぶちゃんがあたしのことを友達以上って言ってくれてうれしかった、って。」

セイカがはきだすように言う。

「友達以上って・・・。」

エリがますます眉間のしわを深くする。

「おかしいやろ?だから、あたしサブローにさり気なく聞いてん。
もちろん、携帯見たとかは言えへんで。
バイトの仲間とどうなん?みたいなこと。」

セイカはすでに目に涙をためている。

「そしたら、なんでそんなこと聞くん?って妙に警戒すんねん。
しまいには逆切れして、オレのことが信用できへんのんか、ってめっちゃどなんねん。」

セイカはそういって声をあげて泣き出した。
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2008-05-23(Fri)

友達以上 3

                                  スレッドテーマ:移住
マサヨシ

セイカは電話から10分ほどしてやってきた。

「ひさしぶり〜。」

片手をひらひらさせてちかづいてくる。

なんだか、セイカは変わった。

以前はどちらかというと子供っぽい雰囲気だったのが、いつの間にかとても女らしくなっていた。

服装が以前とそう変わったわけでもない。

Tシャツにショートジーンズ。

でもなんだろうなあ。

体から発するオーラが、明らかに色気を増したんだ。

これが恋の力なのか、それとも年齢がそうさせたのか、オレにはわからない。

以前よりも少しやせた感じがする。

大人っぽくなったセイカは、ちょっとまぶしかった。

「元気にしてんの〜?
最近、全然学校来てないやん。」

エリはセイカのためにちょっと場所を作りながら言った。

「バイト、バイトで疲れててさあ。」

セイカはハンカチでちょっとおでこの汗をぬぐう。

「サブローは?」

オレは何気なさをよそおって聞く。

「ああ・・・。
それやねん。ちょっと聞いて欲しいことがあってさあ。」

セイカは顔を曇らせた。
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おとうと
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お父さんのお部屋
鹿竹 タカオ

父の経営する飲食業を継ぐ。
しかし、移住の願望が強く心が揺れ動いている。
2児の父である責任感も強く、夢と現実の狭間で苦しみ始める。
お母さんのお部屋
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タカオと結婚し、幸せを感じつつも自分の夢を追い求めるタカオの姿に 共感しつつも、安定した生活を続けたい母心も持ち合わせている。
女の子のお部屋
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幼稚園のころから、お姉ちゃん意識が強く、優等生タイプ。おっとりしているが、粘りは強い。
男の子のお部屋
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おじいちゃんのお部屋
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1代で様々な分野の商売を築き上げ、「良い2代目がいて、幸せ者ですな。」 と言われるたびに、眉を細めながらも、夢を持つ大切さを誰よりも理解している。 そろそろ、信州にでも住もうか?などミチコと話したりもする。
おじいちゃんの旅なら
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鹿竹 ミチコ

トシゾウを支えて約40年。性格は明るいが、変化を好まない。縁の下の力持ちをまっとうしている。トシゾウとともに大阪生まれ大阪育ちで、大阪に愛着を持っている。
大学生のお部屋
馬村 マサヨシ

大学入学とともに、鹿竹家に いそうろう。学校にもあまり行かず、女の子のケツを追い回す生活。
大学生の情報
O L のお部屋
鹿竹 モモコ

タカオの妹。結婚願望はあるが、恋に、おしゃれに、趣味に忙しく、独身を完全に楽しんでいる。
明るい性格で、友達が多いが、反面落ち込みやすい。
O L の情報